ワシントン条約について知っておくべき基本的な知識

ワシントン条約の英語表記は convention on international trade in endangered species of wild fanuaand floraといいます。サイテス(cites)はこの頭文字を取って略した言葉です。

また、貿易業界では「サイテス」の意味は「ワシントン条約の許可書」を指します。

附属書に掲げられている種の固体及びその派生物(ワシントン条約許可が必要な商品)の国際取引には輸出国又は場合により輸入国において定められた手続きを行わなければなりません。

また、ワシントン条約の附属書に掲げられていない種についても、税関において学名の確認が行われます。

コンプライアンスに基づいた輸出入には、動植物由来の各種製品・検体の国際移動を取扱う方の正しい制度理解が必須となります。

学名を確認することによってわかること

学名と原産地がわかれば附属書IからⅢに該当となるか、非該当となるか確定することが可能です。

この判断のための学名等は輸出入者が自ら行うことが必要です。

使用されている種の学名が不明の場合は、購入先へ問い合わせを行いましょう。

ワシントン条約附属書の掲載種と分かったらすることは?

該当の附属書掲載箇所により手続きが異なるため、正確な学名で附属書に掲載されているか確認することが必要です。

その上で、ワシントン条約附属書に掲載種で間違いないか確認しましょう。

ワシントン条約の附属書には種類があり、附属書Ⅰ、附属書Ⅱ、附属書Ⅲ(国ごとの保護種:日本無し)まであります。

数字が少ない附属書がより保護を必要とする動植物です。

例えば、附属書Ⅰ掲載種は原則として商業目的取引は禁止など取り扱いが異なります。

そのため、附属書の掲載箇所を確認してから必要な手続きの検討を行います。

附属書による手続き制度

附属書Ⅱ該当種製品 

輸出する場合はワシントン条約許可申請と輸出承認を合わせて行います。

当事務所にご依頼いただく事例は、アロエ、サボテン等のワシントン条約許可附属書Ⅱに該当となるケースが多く見られます。

附属書Ⅰ該当種製品

輸出の場合はワシントン条約許可書と輸出承認が必要となり、さらに相手国の輸入許可が必要となります。

附属書Ⅲ該当種製品 

附属書Ⅲに当該種を掲げた国を原産とするもののみが対象となります。その為、対象国以外のものは、それらの原産国以外を原産地とすることを証明することになります。また、対象国を原産とする場合は、許可申請が求められます。

ワシントン条約許可と輸出承認制度の連携

ワシントン条約許可が必要な貨物の輸出は、輸出貿易管理令により経済産業大臣の輸出承認が併せて必要です。

ワシントン条約の附属書に掲げられた動植物及び派生物等は輸出貿易管理令別表2の36の中欄に掲げられており、全地域について輸出承認証の取得が必要です。また、適用除外規定からも除外されています。

ワシントン条約許可申請と同時に輸出承認申請も行うことが必要です。

ワシントン条約の附属書に掲げられた動植物及びその派生品等の輸出手続

ワシントン条約の附属書に掲げられた動植物・その派生物等を輸出しようとするときは事前に経済産業大臣の「輸出承認証」及びワシントン条約に基づく「ワシントン条約許可書(サイテス)」を取得することが必要です

取得した輸出承認証と輸出許可書(サイテス)は税関での輸出申告の際に提示し税関の確認後に、原本が返却されます。

その原本を用い、相手国(輸入国)税関で通関を行います。

したがって、返却された許可証原本の管理は確実に行うことが必要です。

輸出の取り扱い

附属書Ⅰ 商業目的の国際取引は原則禁止されています。
例外的に、以下の場合は取引が認められますが、輸出の承認を受けなければなりません。

  • 学術研究目的のもの(事前の輸入許可証の取得も必要です)
  • 共同保護計画に基づくもの
  • 繁殖施設において人工繁殖したもの(動物にあっては登録した施設)
  • 条約適用前に取得したもの
  • サーカスなどの移動展示
附属書Ⅱ 目的にかかわらず取引が認められますが、輸出の承認を受けなければなりません。
 附属書Ⅲ  掲載国原産の場合・・・輸出の承認は不要です。ただし、「輸出許可書」が必要ですので、その申請が必要です。

非掲載国原産の場合・・・輸出の承認は不要です。ただし、日本原産の貨物の輸出については原産地証明書が必要ですので、商工会議所に原産地証明書を申請する。

 ワシントン条約の附属書に掲げられた動植物及びその派生品等の再輸出手続

「再輸出」とは一度輸入した貨物を輸出することをいいます。外国産の中古品を海外へ輸出する場合などが該当します。

ワシントン条約の附属書Ⅰ及び附属書Ⅱに掲載されている動植物及び派生物等の再輸出については、事前に経済産業大臣が発行する「輸出承認証」と「ワシントン条約に基づく輸出許可書」を取得しなければなりません。

取り扱いは「輸出」とほぼ同じですが一部異なるところがあります。

再輸出の取り扱い

附属書Ⅰ 商業目的の国際取引は原則禁止されています。
例外的に、以下の場合は取引が認められますが、輸出の承認を受けなければなりません。

  • 学術研究目的のもの(事前の輸入許可証の取得も必要です)
  • 共同保護計画に基づくもの
  • 繁殖施設において人工繁殖したもの(動物にあっては登録した施設)
  • 条約適用前に取得したもの
  • サーカスなどの移動展示
附属書Ⅱ 目的にかかわらず取引が認められますが、輸出の承認を受けなければなりません。
附属書Ⅲ  再輸出については「再輸出証明書」が必要ですので、その申請が必要です。
条約適用前に輸入した動植物 輸入時の輸出国発行の輸出許可書や通関済み輸入申告書、その他資料によって、条約適用前に輸入したものであることが確認できる場合は、目的にかかわらず認められます。